【8月17日 AFP】レバノンのミシェル・アウン(Michel Aoun)大統領は16日、イスラム教シーア派(Shiite)組織でイスラエルと敵対するヒズボラ(Hezbollah)と同盟関係にある一方で、イスラエルとの将来的な和平の可能性に含みを残す発言を行った。

 レバノンは事実上、隣国イスラエルと数十年にわたって戦闘状態にあり、ヒズボラが拠点とするレバノン南部の国境地帯では、散発的な緊張の高まりが見られる。

 13日には、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)が国交正常化に向けて合意したと発表された。UAEは、イスラエルが建国された1948年以降、同国と完全な外交関係を樹立する3か国目のアラブ国家となる。

 これを受けてアウン大統領は16日、フランスのニュース専門民放テレビ局BFMとのインタビューで、レバノンはイスラエルと和平を結ぶ用意があるかとの質問に対し、「それは状況による。わが国はイスラエルとの間に複数の問題があり、まずそれらを解決しなければならない」と答えた。

 アウン氏が創設したキリスト教政党の自由愛国運動(Free Patriotic Movement)は、政党でもあるヒズボラと政治的な同盟関係にあり、この連合によって両党は議会と政府で多数派を占めてきた。

 ただ首都ベイルートの港湾地区で発生し、多数の犠牲者と首都への壊滅的な被害をもたらした大規模爆発は政府の怠慢が招いたとの怒りが高まる中、内閣は10日に総辞職している。

 ヒズボラ党首のハッサン・ナスララ(Hassan Nasrallah)師は14日、イスラエルとUAEが交わした合意について、「これはエルサレム(Jerusalem)とパレスチナ人に対する裏切りだ。背後から刺されたようなものだ」と非難している。(c)AFP