【8月17日 Xinhua News】中国とエジプトによるルクソール・モンチュ神殿合同発掘チームはこのほど、段階的な発掘成果を発表した。2018年11月に始まった同神殿の第1次発掘調査は、中国の考古学発掘チームにとって、新中国成立以来で初のエジプトでの発掘調査となったが、今年に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、これまでにない新たな試練を受けることになった。

 中国とエジプトの文化交流が日増しに緊密化するにつれ、考古学分野での協力もここ数年で進展が見られた。中国社会科学院考古研究所とエジプト考古省は2018年10月、ルクソール・モンチュ神殿での合同考古学プロジェクトに関する協定を締結。合同発掘チームを発足させた。1年にわたる遺跡の現状調査と記録、暫定的な遺跡の整理を経て、合同チームは昨年末、神殿区域の発掘を開始した。

 中国社会科学院考古研究所の賈笑氷(Jia Xiaobing)副研究員は、今回の発掘対象範囲が2千平方メートルに及んだと指摘。神殿一帯は全体的に広くなだらかで、22カ所の建築遺構を確認することができたが、ほぼ全てが砂岩質の宗教建築で、しかも長期にわたり保護・管理がなされていなかったことから、大半は保存状態が良くなかったと説明した。

 今年初めの新型コロナの感染拡大も両国の発掘スタッフに大きな圧力をもたらした。賈氏は「3月にエジプトでの感染拡大が深刻になったため、作業員を減らし、中心区域にのみ人員を残した」と振り返る。

 3月末に終了した発掘調査で、発掘チームは多くの重要な発掘成果を得た。神殿の南西端付近では、泥レンガを敷いた地面を発見。接着剤を用いて同一サイズのレンガを平らに敷き詰めており、敷設方法も整然としていた。よく見ると、全てのレンガに楕円形の印章が押印されており、モンチュ神殿を創建したアメンホテプ3世の即位名が記されていた。この発見は、モンチュ一帯における初期の建築分布を知る決め手となった。

 発掘調査は段階的な成果を得たとはいえ、プロジェクト全体でみればまだ初期段階にあるという。順調に進めば、考古学チームは今年年末に再びモンチュ神殿に赴き、次の段階の発掘作業に入る。

 ルクソールは古代エジプト王朝の首都で、モンチュ神殿には古代エジプトの軍神モンチュが祀られていた。ルクソールで最も名高いカルナック神殿の北側にある。神殿や塔門、オベリスクなどからなり、カルナック建築群の一部分をなしている。(c)Xinhua News/AFPBB News