【8月17日 AFP】欧州が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に見舞われてから初となる大型クルーズ船ツアーが16日、イタリア北西部の港湾都市ジェノバ(Genoa)から運航を再開した。

 大型クルーズ船「MSCグランディオサ(MSC Grandiosa)」は、グリニッジ標準時(GMT)午後5時半(日本時間17日午前2時半)すぎにジェノバを出港した。ローマ近郊チビタベッキア(Civitavecchia)、ナポリ(Naples)、パレルモ(Palermo)、マルタの首都バレッタに寄港しつつ、7日間かけて地中海を周遊する。

 世界各地の運航会社は、パンデミックで客船の係留を余儀なくされただけでなく、感染拡大の初期に対応が遅れたと批判を浴びている。MSCグランディオサの出航は、コロナ危機で大打撃を受けた世界のクルーズ産業にとって大きな賭けとなる。

 運航会社側は、厳格な手続きを導入することにより、船上での感染リスクを減らしつつ、乗客を失望させないクルーズ体験を提供できると期待を寄せている。

 16日、客船ターミナルに到着した乗客たちからは、感染を心配してはいないとの声が聞かれた。今やクルーズ船ツアーは休暇の過ごし方の中では安全な選択肢だと思うと答えた人たちもいた。乗客らには、チェックイン後にターミナル内で血液検査を受けることが義務付けられている。

 ジェノバのマルコ・ブッチ(Marco Bucci)市長は、MSCグランディオサの出航について「ジェノバの経済を支える基幹産業の一つの再起へ向けた具体的な兆候だ」と述べた。

 2か月以上に及んだロックダウン(都市封鎖)で瀕死(ひんし)の状態にある経済の再活性化を急務とするイタリア政府は先週、クルーズ船の運営会社に8月15日からの運航再開を許可していた。(c)AFP/Francesco Gilioli with Alexandria Sage in Rome