■「国際社会は手をかまれた」

 米シンクタンク、外交問題評議会(Council on Foreign Relations)の上級研究員ミラ・ラップフーパー(Mira Rapp-Hooper)氏は、「中国がジェファーソン流(Jeffersonian)民主主義になると(米)外交関係者が考えたことは一切ない」と語る。「進歩はするだろうという楽観はあったにせよ、単なる米国の関与という事実が、中国の党による国家の性質を根本的に変えるという希望はなかった」

 鄧小平(Deng Xiaoping)政権になると中国経済の開放に期待が高まったが、1989年に北京の天安門(Tiananmen)広場で行われた大規模な民主化要求デモに対する軍の致命的な弾圧によって希望は打ち砕かれた。

 1992年に米大統領に選出されたビル・クリントン(Bill Clinton)氏は、選挙戦中は「北京の虐殺者ら」に強硬姿勢で臨むと誓ったが、結局は対中関係において貿易特恵措置と人権問題を結びつけることを取り下げた。「最終的に経済的利益が優先した」とラップフーパー氏はいう。「中国がいや応なしに台頭し、それはある意味、米国に有益だという感覚があった」

 中国は2001年、世界貿易機関(World Trade Organization)に加盟。人口十数億人の大国として急速に成長し、製造業にけん引された経済は世界と密接に結びついた。

 これをポンペオ氏は、欧米の政策は「後退する中国経済を復活させたが、それを育てた国際社会はただ中国政府に手をかまれただけだ」と表現する。

 転換期となったのは2008年の世界金融危機だ。ラップフーパー氏によると、このとき中国指導部は「米国的な民主的自由主義型モデルは行き詰まり、中国は大国として国際舞台でますます存在感を増す機会を得た」と考えるようになったという。(c)AFP/Francesco FONTEMAGGI