【8月16日 AFP】香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は15日、かつて在籍したケンブリッジ大学(Cambridge University)のカレッジから授与された名誉フェローの称号を「返上した」ことを明らかにした。

 同大学ウルフソンカレッジ(Wolfson College)で学んだ林鄭氏は、同校が香港における学問の自由に対する調査を開始したことを受け、同校との関係を断つと発表。

 林鄭氏は、「事実ではなくうわさを根拠に人を中傷するカレッジに深く失望した」「そのため、同カレッジとのいかなる関係をも維持すべきだと、とても確信できない」とのコメントを、緑あふれるキャンパスで撮影した自身の写真と共にフェイスブック(Facebook)に投稿。

 ウルフソンカレッジによると同校は最近、人権や表現の自由を守ることに関する、林鄭氏の姿勢を懸念していたという。

 同校の理事会は来月、林鄭氏の名誉フェローとしての称号について審議することになっていたが、同氏が返上した今、その必要はなくなった。

 香港にはアジアでトップクラスの大学が複数あるものの、中国政府が大学を御し、愛国教育を推進する中、政治的自由の衰退が多くの大学を揺るがしている。

 ウルフソンカレッジは昨年以降、林鄭氏の称号剥奪への圧力にさらされていた。

 林鄭氏はフェイスブックで、抗議デモに関する行政としての立場について説明するため、昨年および先週、ウルフソンカレッジに文書を送ったことを明かし、自由の抑圧を否定した上で、「こうした根拠のない批判を一笑に付したい」とのコメントを記した。(c)AFP