【8月17日 Xinhua News】中国新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の天山1号氷河保護区は、工場・鉱山の永久閉鎖や放牧・観光の停止、数年にわたる持続的な生態系保護・修復により、環境が著しく改善された。

 天山1号氷河は標高3850メートルで、天山山脈中央部の天格爾峰(テングル峰)北麓に位置する。ウルムチ河源1号氷河とも呼ばれ、ウルムチ市(Urumqi)から南約130キロにある、世界で最も都市に近い氷河となっている。

 観測によると、同氷河は1960年代以降、後退を続け、東西の氷舌が縮小したことで93年に完全に分離。独立した二つの氷河となった。専門家は、現在の速度で融解が進むと、50年後には完全に消失するとみている。

 人類の活動がもたらした氷河の急速な融解を抑え、ウルムチ市の「母なる河」からの安全な給水を確保するため、自治区政府は2014年、天山1号氷河保護区の設立を決定。同氷河とウルムチ河流域の生態環境保護・修復の重要プロジェクトを速やかに実施することを決めた。

 野生動物保護のボランティア団体「荒野新疆」の責任者、邢叡(けい・えい)氏によると、同団体が15年からウルムチ市南部の山間部で実施しているユキヒョウの観測活動で、大型動物の個体群が大幅に増加していることを発見したという。特に天山1号氷河周辺では、ユキヒョウの数が20頭以上を維持しており、1990年代以降に姿を消したクマが再び出現したほか、シベリアアイベックスやアカシカ、イノシシの数も急速に増加している。(c)Xinhua News/AFPBB News