【8月17日 AFP】リーダー不在、ソーシャルメディアを駆使──香港の反政府抗議デモに触発されたタイの若者らによる政権退陣や憲法改正を求める抗議活動は、王室を保護する法律の見直しという微妙な問題にも踏み込み始めている。

 警察によると、首都バンコクの民主記念塔(Democracy Monument)で14日に行われたデモには1万人以上が参加。2014年のクーデター以来、最大規模の政治デモとなった。

 タイでは過去数十年にわたり、軍事クーデターと資金力がある有力者による権力を求めるまたは既存権力に反する抗議デモが繰り返されてきた。

 だが、新しい世代のデモ参加者らは、この闘いはこれまでとはまったく異なると話す。最近では毎日のようにデモが行われ、多数の怒れるタイの若者が集まるようになっている。

 元陸軍司令官で2014年のクーデターを指揮したプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)首相(66)は、5年におよぶ軍政を敷いた。昨年の選挙でプラユット氏は首相に選出されたが、その政権は親軍勢力が多数を占めている。

 デモ参加者らは、選挙は軍政が制定した新憲法の下で実施され、その憲法は軍政の選出した上院議員が首相指名できることを定めており、大きな欠陥があると訴えている。

■「自ら集まっているだけ」

 活動家のタテープ・ルアンプラパイキットセーリー(Tattep Ruangprapaikitseree)氏は、中国政府の締め付け強化に反発して発生した香港の反政府デモを引き合いに出し、「香港の反政府デモに触発された部分もある」「真のリーダーや主催者はいない。ただ、自ら集まってきているだけだ」と話した。

 香港同様、タイのデモも創造力にあふれている。

 これまでのデモでは、日本アニメ「とっとこハム太郎(Hamtaro)」やミュージカル「レ・ミゼラブル(Les Miserables)」の楽曲、映画「ハンガー・ゲーム(The Hunger Games)」シリーズの3本指のポーズなどポップカルチャーのシンボルが使われた。ファンタジー小説「ハリー・ポッター(Harry Potter)」がテーマの抗議デモが行われたこともある。