【8月14日 AFP】シベリア(Siberia)北東部に生息していた体が毛でおおわれた茶色のサイ「ケブカサイ」は、約1万4000年前に絶滅した。人間なのか、それとも温暖化なのか──絶滅の原因は謎に包まれている。

 スウェーデンとロシアの研究チームが、14のケブカサイの死骸のDNAの断片を調べた結果、原因は人間ではないことが分かった。

 体重2トンのケブカサイは数千年間、人間と共生していたが、最終氷期の終わりごろに個体数が激減した。

 研究を率いたスウェーデンにある古遺伝学センター(Centre for Palaeogenetics)の遺伝学者、ロベ・ダレン(Love Dalen)氏はAFPに、「絶滅の主な要因は、約1万4000年前に発生した気候の変化である可能性が高くなった」と述べた。

 研究チームは、1万8500年前のサイの完全ゲノムを分析することができた。母親と父親、それぞれから受け継いだ染色体の比較により、近親交配は少なく、多様性が高かったことが明らかになった。

 ダレン氏は、種の個体数は遺伝子の多様性と近親交配の度合いに比例するとし、「1万8000年前、このサイは大きな集団に属していた」と述べた。

 また他の動物から、母親から引き継がれるミトコンドリアゲノムを採集でき、これにより雌の個体数を推測できたという。

 ケブカサイの生息地だったシベリアに人間が到来したのは3万年前だった。人間はケブカサイの狩猟を行っていたが、突然温暖化したベーリング・アレレード期までの1万2000年以上は、個体数は安定していた。

 研究結果は、13日の米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に掲載された。(c)AFP