いま着けたいのは、“物語” のある時計--。その興味深いストーリーを知るほどに魅力は深まるばかり。ここに現代の名品たちを主役にした珠玉の短編集を編んでみた。

マスター・コントロール・カレンダー/ドーム型のダイアルとサファイアクリスタルも、初代からの継承。植字インデックスのリデザインに加え、日・曜日の各表示窓にはフレームが追加され、エレガントさを増した。ムーブメントは脱進機をシリコン製に置き換えて効率を高め、香箱の設計も見直して70時間駆動へと進化している。ストラップには、上質なフランス製のベジタブルタンニングレザーを初採用した。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径40㎜、5気圧防水。税別118万円。

初代マスター・コントロールカレンダー。ムーンフェイズこそないが、外観は上の新作と酷似し、スタイルが継承されてきたと分かる。

現在1000時間コントロールテストは、すべての時計に課せられている。検査は、専任スタッフにより厳格に執り行われる。背景に見えるのは、腕の動きを再現するサイクロテスト・マシン。

JAEGER-LECOULTRE

1992年、ジャガー・ルクルトの技術者らは、当時もっとも信頼性が高かった自社製Cal.889を搭載した新しい丸型時計の性能を実証したいと願った。そして製品として完成した状態で、6姿勢差での歩度検査、腕の動きに似た往復運動による耐久試験などを計1000時間にわたって行う独自の1000時間コントロールテストを制定。かつてない過酷な検査に見事に合格したその新作は、テストにちなみ「マスター・コントロール」と名付けられた。

まず3針に始まり、その後ムーンフェイズやクロノグラフといった機構が追加されても1000時間のテストを課し、精度と耐久性とを保証することで、マスター・コントロールは現在に続く息の長いコレクションとなった。またドーフィン型針と楔型植字インデックスが力強い印象を与えるクラシカルな外観も、歴代のモデルを踏襲。

上の「マスター・コントロール カレンダー」は、そのスタイルを受け継ぎながら、楔型インデックスをわずかに伸ばして時針との調和を図り、アラビア数字をスリムに洗練した新作である。さらにポインターデイト機構を革新。15日と16日の間隔を広くあけ、針がムーンフェイズを隠さぬよう大きくジャンプする設計としたのだ。クラシカルな外観に、先進のメカが潜む。

文=髙木教雄 
(ENGINE2020年9・10月合併号)