【9月5日 AFP】ローヒットナーウィー(Lohitnavy)家の姉妹、ミミーさんとニッキーさんは、タイの熱帯気候と闘い、ブドウ園に入り込むゾウを追い払いながらワイン造りに励み、賞を取って、半信半疑だった人たちに自分たちのワインを認めさせた。2人は今、アルコール市場を独占する億万長者に有利だと批判される「不公平な」アルコール関連法と闘っている。

 首都バンコクから3時間ほど離れたカオヤイ国立公園(Khao Yai National Park)の丘陵地帯にある広さ40エーカー(約0.16平方キロ)のグランモンテ・エステート(GranMonte Estate)は、シラー、ヴィオニエ、シュナン・ブランなどの品種を栽培している。

 起伏のある土地は肥えており、予想以上にブドウ栽培に適している。イタリア・トスカーナ(Tuscany)の観光ポスターから出てきたような赤土色のゲストハウスがあり、都会の日常を忘れさせてくれる雰囲気を醸し出している。

 訪問客はブドウ園での自撮り写真を楽しむうちに、ばったりニッキーさんに出くわすこともあるかもしれない。オーストラリアでワイン醸造学を学んだ現在33歳のニッキーさんの知識が、ワイン造りを支えている。

 ニッキーさんはこの地の気候にブドウがどのように反応するか調べるため、さまざまな品種で苦労して実験している。ここからまともなワインが生まれるかどうか、答えが出るまでに少なくとも6年はかかる。

 タイのワインは現在でも主流ではない。気温の高い環境で育ったブドウは渋みの強いワインになることが多く、ワイン好きからは敬遠されがちだ。

 しかし、グランモンテは20年以上ワイン生産を続け、特に熱帯地域でのブドウ栽培という点で認められるようになってきた。

 ニッキーさんはAFPに対し、「世界各地のワイン醸造者が、私たちがどうやっているのか知りたがっている。なぜなら彼らの地域でも気温が上昇し、降水量が多くなっており、そのような環境に適応する必要があるからだ」と説明した。