【8月14日 AFP】恐竜の誕生前に絶滅した4億2900万年前の海洋生物「三葉虫」の化石に極めて良好な状態で残っていた目を調べたところ、現代のミツバチやトンボに類似する視覚を持っていたことが分かった。研究者らが13日、明らかにした。

 英科学誌ネイチャー(Nature)系列のオンライン科学誌「サイエンティフィック・リポーツ(Scientific Reports)」に掲載された論文によると、その三葉虫は体の厚さがわずか1~2ミリで、頭部の後ろに突き出た半楕円(だえん)形の目が二つある。片方の目は失われていたという。

 ドイツとイギリスの研究者らは、デジタル顕微鏡を使い、現代の昆虫や甲殻類の複眼と非常によく似た内部構造を持つことを発見した。複眼は、わずかな量の光を取り込むレンズをそれぞれに持つ個眼がハチの巣のように集合している。

 論文の共著者、独ケルン大学(University of Cologne)動物学部のブリギッテ・シェーネマン(Brigitte Schoenemann)氏によると、複眼はそれぞれの個眼が別々に働き、コンピューターグラフィックスの単独のピクセル(画素)のように機能するという。

 この化石の三葉虫は個眼が200個ほどしかなく、モザイク状の視覚で、「障害物や避難場所」のほか、オウムガイやタコの遠い祖先である古代の頭足動物といった捕食者を見つけることができたと考えられる。

 シェーネマン氏によると、個眼はミツバチなら一方の目だけで数千、トンボは約3万個あるという。これらの昆虫と比べて三葉虫は「解像度は異なるが、機能原理は同じだ」とシェーネマン氏は指摘する。

 三葉虫の目のレンズは直径35マイクロメートルと微小なため、現代のイワガニのように浅い海中に生息していたと研究者らは結論付けている。(c)AFP/Kelly MACNAMARA