【8月14日 AFP】レバノンの首都ベイルートの港湾地区で爆発が起き、近くのオフィスで働いていたシャディ・リズク(Shady Rizk)さんは、携帯電話を取り出して撮影を始めた──その直後に続くさらに大きな爆発については、この時はまだ知る由もなかった。

 ベイルートの街並みを一変させ、死者171人、負傷者6000人以上を出した8月4日の大爆発は、既に経済危機にひんしていたレバノンにさらなる大打撃を与えるものとなった。

 リズクさんは大けがをした。爆発から1週間以上が経過したが、顔と前腕には痛々しい傷がはっきりと確認できる。ただ「海賊」のようにたくわえた顎ひげが爆発の衝撃で飛んできた破片から喉を守り、一命をとりとめる助けになったと話す。顎ひげからは、ガラス片などの多数の破片が出てきたという。

 リズクさんは今、いとこが住むカナダへの移住を希望している。移民申請においては、今回撮影した爆発の瞬間の映像が重要視されることに期待を寄せる。今後は、脚が治ったら反政府デモにも参加する予定だという。

 AFPのインタビューに応じたリズクさんは「神様はもう一つの人生、第二のチャンスを私に与えた。ここではもう暮らしたくない」と、自ら撮影した大惨事の瞬間の映像を見直しながら語った。

 映像前半はリズクさんが撮影した大爆発の瞬間。4日撮影・提供。後半はリズクさんへのインタビュー、12日撮影。(c)AFP