■「ミャンマーは主要なプレーヤー」

 計画の目的は、毎年5基ほどの超小型衛星を打ち上げ、最終的に軌道上の衛星50基あまりをコンソーシアムで制御することだ。超小型衛星は1基の総重量が100キロ以下で、寿命は5年とされる。

 ミャンマーが投じる最初の費用は1600万ドル(約17億円)で、天文学的に高額というわけではない。従来型の衛星打ち上げの費用1億ドル(約105億円)に比べれば数分の1程度だ。

 打ち上げは国外で実施される見通しだが、ミャンマーは独自の地上管制センターを設け、日本の管制センターと連携する予定となっている。

 高橋氏はAFPの取材に「ミャンマーは主要なプレーヤーのひとつになるに違いない」と語り、マレーシア、タイ、バングラデシュ、モンゴルなども後日、チームに加わる見込みだと述べた。

 高橋氏によると、衛星の連携運用計画で使用するカメラは宇宙空間にあるものとしては最高性能を持つ一つとなり、ほぼ継続的に画像撮影ができるのだという。この画像データは台風や被災地などの3D(立体)モデルに変換される。

 また、都市開発から森林伐採や違法採掘までの土地利用の変化も、衛星群で追跡調査できるという。

■立ちはだかるコロナウイルス

 ミャンマーからの第1陣である航空宇宙エンジニア7人は、数か月前にすでに荷造りを終えており、衛星の開発作業を進めるためにいつでも日本に赴く用意ができている。

 だが、エンジニアらの渡航計画は新型コロナウイルス流行の影響を受けて遅れている。ミャンマー初の打ち上げは2021年上旬に予定されているため、残された時間もそう長くはない。

 それでも、人との物理的距離を保ちながら先ごろ開催された概況報告会に出席したエンジニアの一人、トゥ・トゥ・アウン(Thu Thu Aung)さん(40)は、今回のプロジェクトに参加できてわくわくしていると語っていた。

「ミャンマーから、そして自分たちの大学から、宇宙空間に人工衛星を送り込むこと、これが私たちの夢」 (c)AFP/Richard SARGENT / Su Myat MON