【8月13日 AFP】インド洋の島国、モーリシャスの沖合で商船三井(Mitsui OSK Lines)が運航する貨物船「わかしお(MV Wakashio)」が座礁して燃料が流出した事故で、同国が誇る希少なマングローブ林や多くの魚、さまざまなサンゴ礁を有する湿地帯が危険にさらされている。

 わかしおは7月25日、モーリシャス沖で座礁。湿地保全を定めたラムサール条約(Ramsar Convention)の指定地域2か所付近で、1000トン以上の燃料が流出した。

 プラビン・ジャグナット(Pravind Jugnauth)首相は今月12日、タンクに残っていたすべての燃料を回収したと発表。ただ、船内の別の場所には今も100トンもの燃料が残っており、全長300メートルもの船体が真っ二つになる可能性も高いという。

 ラムサール条約の指定地域で、わずかながら燃料の到達が確認されているブルーベイ(Blue Bay)海洋公園は353ヘクタールの観光地で、100歳を超える球状の「ノウサンゴ」など38種のサンゴ礁が生息している。

 環境団体グリーンピース(Greenpeace)の元戦略担当で、燃料除去作業を支援する環境専門家のサニル・ドワルケイシング(Sunil Dowarkasing)氏は、作業によって燃料の流出が「直ちに抑えられた」と述べた。しかし、さらなる漏出によりブルーベイ海洋公園近くの地域に大きな被害がもたらされる可能性もあると指摘している。

 もう一つのラムサール条約指定地域、ポワントデスニー(Pointe d'Esny)は22ヘクタールの浅瀬の汽水域で、マングローブ林や干潟が広がっているほか、絶滅危惧種の植物や在来チョウが生息している。

 マングローブの根は油が付きやすく、さらなる燃料流出が起きればポワントデスニーは特に影響を受けやすいとドワルケイシング氏は警告している。(c)AFP