【8月13日 People's Daily】6月に最後の衛星打ち上げが完了し、全面稼働している中国の衛星測位システム「北斗(Beidou)3号」。全世界に位置の測定、ナビゲーション、時刻配信などのサービスを提供しており、北斗関連製品は120か国・地域に輸出されている。

 北斗3号は400以上の企業・機関、30万人以上のスタッフが英知を結集して生み出した。衛星間回線や高精度原子時計など160余の重要技術を開発。約500種類の部品を国内で製造し、北斗3号の中核部品は国産化100%を実現した。全世界で測位の誤差は10メートル以内、速度判定の誤差は毎秒0.2メートル以内、時報の誤差は20ナノ秒(ナノは10億分の1)以内という高精度を誇り、サービスの実用性は99%以上にのぼる。中国と周辺では国内の3000近い地上局の補正を加えて、誤差をセンチメートル単位にまで引き下げている。また、画像・音声データや14000ビット(漢字で1000文字)までのショートメッセージを送信できる。

 中国衛星測位システム管理弁公室主任・北斗衛星測位システム報道官の冉承其(Ran Chengqi)氏は「北斗システムは既に交通・運輸、公共安全、災害救助、農林水産、都市管理などの分野にサービスを提供しており、電力、金融、通信などの国家インフラとも融合している。28ナノメートルのナビゲーションチップが量産され、さらに22ナノチップの大規模生産の実現も近い」と強調。チップ、モジュール、ボード、端末と運営サービスが一体化した北斗産業チェーンが構築されており、「ここ10年で中国の衛星ナビゲーションと位置サービス産業の生産高は年平均20%以上成長し、2019年には3450億元(5兆2600億円)に達した。2020年には4000億元(約6兆1000億円)を超えるだろう。北斗は次世代通信、ブロックチェーン、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)などの技術と融合していく」と語った。

 北斗3号は国連が認めた4大グローバル衛星測位システムの一つだ。米国、ロシア、欧州連合(EU)の衛星測位システムとの相互運用やシステムの連携は深まっている。民間航空、海事、捜索救助、モバイル通信などの分野で複数の国際機関が北斗システムを採り入れている。北斗関連製品は120か国・地域に輸出され、1億人以上のユーザーにサービスを提供している。

 冉承其氏はまた、「中国は次の北斗計画に着手している」と説明。「2035年までにより高性能な次世代システムを整備する。屋内や深海を含めどこでも高精度でつながり、安全で効率よい情報サービスのインフラをつくる」と見通しを語った。(c)People's Daily/AFPBB News