【8月12日 AFP】スリランカで新型コロナウイルス対策として導入されたロックダウン(都市封鎖)の期間中、人間と衝突して死んだゾウの数が減っていたことが、動物保護活動家の話で分かった。

 政府の統計によると、スリランカで昨年人間に殺されたゾウは405頭。2018年の約360頭から増加し、過去最多を記録した。一方、ゾウとの衝突が原因で死亡した人は計121人で、前年の96人から増加した。

 12日の「世界ゾウの日(World Elephant Day)」を前に、国際的に著名なゾウの専門家ジャヤンタ・ジャヤワルダナ(Jayantha Jayewardene)氏は、「外出禁止令が出ている間は人とゾウの衝突が減ったようだ」とコメント。「しかしこれは一時的な状況だ。農業経営者は自分たちの作物を守り始め、再びゾウを殺すだろう」と述べた。

 殺されたゾウの多くは、土地をゾウの進入から守ろうとする農業従事者に射殺されたり毒殺されたりした。仏教徒が国民の大多数を占めるスリランカでは、ゾウは神聖な動物とみなされ保護されているが、ゾウを殺して訴追されるケースはまれ。

 人間が死亡する例のほとんどは、生息地が激減したために食料を求めて村で暴れ回るゾウによるものだ。

 動物保護活動家で、国の野生動物保護局で局長を務めたスミット・ピラピティヤ(Sumith Pilapitiya)氏は、3月に始まり6月に公式に解除されたロックダウンの期間中、死んだゾウの数は40%減ったと推定している。

 ピラピティヤ氏によると、2010~17年に毎年平均240頭のゾウが殺され、それ以来殺されるゾウの数は増えているという。

 最新の調査によれば、スリランカにおけるゾウの個体数は、20世紀初頭は1万2000頭だったが現在約7000頭にまで減少している。(c)AFP/Amal JAYASINGHE