【8月13日 AFP】ナミビアのハーゲ・ガインゴブ(Hage Geingob)大統領は11日、20世紀初頭のドイツ植民地時代に起きた大量虐殺について、ドイツ側が提案した補償の内容が「受け入れられるものではない」として「見直し」が必要だとの見解を示した。

 1904〜08年に、ドイツ人の入植者らは先住民ヘレロ(Herero)人とナマ(Nama)人数万人を殺害。これについて歴史学者らは、20世紀で最初に起きたジェノサイド(大量虐殺)だとしている。

 両国は2015年、ドイツからの正式な謝罪と開発援助を結び付けた合意への交渉を開始した。

 交渉の最終段階を控えてガインゴブ大統領は11日、同国政府の特使を務めるゼデキア・ヌガビルエ(Zedekia Ngavirue)氏から、状況についての説明を受けた。だが交渉の日程は、現時点では未定となっている。

 ガインゴブ大統領はこの説明を受けた後、「補償に関するドイツによる現状の提案は、決着がついていない問題のままであり、ナミビア政府にとって受け入れられない内容だ」との見解を示し、ヌガビルエ氏に「提案の見直しに向けて交渉を続ける」よう求めた。ただ内容について詳細は明らかにしなかった。

 ガインゴブ大統領はまた、ドイツが「補償」という語句を認めなかったと指摘。ドイツがホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)後にイスラエルと交渉を行った際も、この語句の使用を避けていたとした。

 また、ドイツ側が補償について「傷を癒やす」ものとして言及していることに関してもヌガビルエ氏が拒絶。この言葉についてさらなる議論が必要となると主張したという。

 独政府はこの主張について、まだコメントしていない。

 ドイツは、植民地政府の下で残虐行為が起きたことについては認めており、ジェノサイドだったとの認識を示す当局者もいる。

 しかし同国は、巨額の開発援助金をナミビア政府に支払ってきたとして、直接補償の支払いを繰り返し拒否してきた。

 ナミビアは1884〜1915年、ドイツによる支配の下で独領南西アフリカと呼ばれていた。その後に南アフリカが75年間支配し、ついに1990年に独立した。(c)AFP