【8月12日 AFP】イラク北部のクルド自治区で11日、イラク軍の幹部2人が「トルコ軍の無人機によるあからさまな攻撃」によって死亡した。イラク軍が発表した。

 死亡したのは国境警備の大隊司令官2人。2人が乗っていた車の運転手1人も死亡した。トルコが6月中旬に国境を越えてイラク北部で非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」に対する地上および航空作戦を開始して以来、イラク正規軍の軍人に犠牲者が出たのは初めて。

 クルド自治区のアルビル(Arbil)州の北に位置するシダカン(Sidakan)の市長はAFPに対し、プラドスト(Pradost)地域で行われた今回の無人機攻撃は、「PKKの戦闘員らと会合をしていたイラク国境警備の司令官らを狙ったもの」だったと述べた。

 同日、トルコ軍による攻撃に先立ち、PKKとイラク軍が衝突したという目撃証言があった。現地の情報筋によれば、事態の沈静化を図って開かれた緊急会合を狙ってトルコが無人機で攻撃したという。

 イラク大統領府はトルコ政府に対し、クルド自治区における「すべての軍事行動の中止」を要請した。

 トルコが6月に始めた軍事行動により、これまでに少なくとも5人のイラクの民間人が死亡した。この他にトルコ政府は自国の兵士2人、PKKとその同盟勢力は戦闘員と支持者合わせて10人の死亡を発表している。

 PKKは長期にわたり、イラク北部の山岳地帯を拠点にトルコを攻撃してきた。一方のトルコは、イラク国内に軍を展開してPKK掃討作戦を行っている。

 アルビル当局とイラク政府はいずれも、トルコ軍のクルド自治区への展開をイラクの主権侵害とみなしているが、主要な貿易相手で地域の大国でもあるトルコを疎外することは望んでいない。(c)AFP