■コウモリの食用がヒトに病気を引き起こす証拠はいまだなし

 国連環境計画(UNEP)によると、ヒトに感染する病気の60%はコウモリを含む動物由来のものだ。この数字はエボラ出血熱やHIV(エイズウイルス)、鳥インフルエンザ、ジカ熱、コロナウイルスの一種の重症急性呼吸器症候群(SARS)など、「新興」の病気では75%に上昇する。

 しかし研究者らは、私たちの種で動物由来の病原体が発生するのは、生物の自然生息地に人間が侵入することと最も関係しており、非難すべきは動物ではなく人間だと指摘している。

 ブールジュの博物館は、新手の虫捕り方法として虫を捕食するコウモリを活用するなど、コウモリに対する人間の影響を軽減するさまざまな方法に取り組んでいるが、チームの目的の一つは、赤ちゃんコウモリの保護だ。赤ちゃんコウモリは、群れが移動する際にしばしば置き去りにされる。

 研究者のオレリー・クレティエン(Aurelie Chretien)氏は、1匹の体重が数グラムほどしかない小さなアブラコウモリに、ペン先に子猫用ミルクを染み込ませて辛抱強く食事を与えていた。大型で鋭い歯を持つコウライクビワコウモリの赤ちゃんに対しては、特別な革の手袋を用意している。

 ブールジュの博物館が広めているメッセージは、コウモリは私たちの敵ではないというものだ。

「コウモリに危険性はないということを人々に伝える必要がある。問題は、フランスには存在しない習慣にある。ここではコウモリを調理しないし、コウモリのシチューも作らない」とムトゥ氏は述べた。

 コウモリはアフリカとアジアの一部地域で食されているが、そのような習慣がヒトに病気を引き起こすという証拠はない。(c)AFP/Maxime MAMET