【8月11日 AFP】慈善団体「シー・ライフ・トラスト(Sea Life Trust)」は10日、中国・上海の水族館で飼育されていたシロイルカ(ベルーガ)2頭が、アイスランド沖の海洋保護区へ解放されたと明らかにした。2頭はいったん保護プールで数週間過ごした後、網で区切られた3万2000平方メートルの海域に放たれる予定で、開放水域にシロイルカの保護区が設置されるのは世界初だという。

 移送されたのは13歳の雌のリトルホワイト(Little White)とリトルグレー(Little Grey)。2頭は上海にある水族館「長風海洋世界(Changfeng Ocean World)」でショーに出演していたが、昨年6月、特製のコンテナでアイスランドのベストマン諸島(Westman Islands)クレッツビク湾(Klettsvik Bay)に空輸された。

 そして今月7日、地上にある施設からクレッツビク湾に設置された保護プールへと移された。シー・ライフ・トラストによると、2頭が海へと戻るのは2011年にロシアにあるクジラ専門の研究所から移送されて以来。

 長年飼育されてきた2頭は野生下では自力で生き延びられないとみられ、引き続き保護を受けながら暮らすことになる。保護区は網で仕切られているものの、魚などの海洋生物は網を通り抜けることができる。

 シー・ライフ・トラストはこのプロジェクトを、現在飼育下に置かれている約3000頭のクジラ類を野生に返すモデルケースにしたい考えだ。同団体のアンディ・ブール(Andy Bool)代表は、計画が「われわれが望み、予定していた通り順調に進んだ」と述べ、「専門家チームや獣医師らと共にリトルグレーとリトルホワイトを注意深く観察している」と説明した。

 映像は7日撮影・提供。(c)AFP