【8月11日 AFP】台湾の呉釗燮(Joseph Wu)外交部長(外相に相当)は11日、訪台中のアレックス・アザー(Alex Azar)米厚生長官との会談で、中国当局が6月に施行した香港国家安全維持法(国安法)による反体制派への弾圧強化を引き合いに出し、中国は台湾を「次なる香港」にしようとしていると警戒感を示した。

 アザー米厚生長官は、1979年の米台断交後、最高位の米高官として歴史的な台湾訪問を3日間の日程で行っている。

 台北でアザー氏と会談した呉氏は、台湾は中国に自由を奪われる脅威に常にさらされていると主張。「中国は台湾に政治的条件を受け入れるよう圧力をかけ続けており、わが国の日常生活をますます困難にしている。その政治的条件とは、台湾を次なる香港にしようとするものだ」と訴えた。

 国安法施行後、香港では立法会(議会)選挙で野党政治家の立候補資格が取り消されたり、民主派活動家らが逮捕されたりするなど、反体制派への弾圧が強化されている。

 台湾は「一つの中国」の受け入れを拒否し、事実上の独立国家だとの立場を取っている。これに対し中国政府は、台湾は自国領だとして統一を目指すと宣言。そのためには武力行使も辞さない構えを見せているため、台湾では香港の国安法を受けて警戒感を強めている。(c)AFP