【8月11日 AFP】太陽系内の小惑星帯にある準惑星ケレス(セレス、Ceres)は不毛の岩石小惑星と長年考えられていたが、表面下に海水をたたえる海洋天体であることが10日、主要探査ミッションの結果で明らかになった。

 ケレスは、火星と木星の間の小惑星帯にある最大の天体で、自身の重力を持つため、米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ドーン(Dawn)」が周回観測を行い、表面の高解像度画像を撮影することができた。

 欧米の科学者チームは最新の研究で、ドーンから送信された、約35キロ離れた距離から撮影したケレスの画像を分析した。

 研究チームは2000万年前に形成されたオッカトル(Occator)クレーターに着目し、その表面下に塩水の「広大な貯留層」が存在することを断定した。

 英科学誌のネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)、ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)などに10日に掲載された複数の論文は、準惑星ケレスの解明にさらなる光を投じている。

 このうち一つの研究チームは赤外線撮像技術を用いて、化合物のハイドロハライト(含水岩塩)が存在することを発見した。ハイドロハライトは海氷中によく見られる物質だが、これまで地球以外で観測された例はなかった。

 イタリアの国立天体物理学研究所(Istituto Nazionale di Astrofisica)のマリア・クリスティーナ・デ・サンクティス(Maria Cristina De Sanctis)氏は、AFPの取材に「今回の研究により、ケレスは土星や木星の衛星の一部と同様に、一種の海洋天体だと言うことができる」と語っている。

 研究チームによると、塩の堆積層はこの200万年の間に形成されたように見えるという。宇宙の時間尺度で考えると、200万年はほんの一瞬のことだ。これは、塩水が今もなおケレスの内部から湧き上がっている可能性があることを示唆しており、今後の研究に重大な影響を与える可能性があるとデ・サンクティス氏は指摘した。

「これらの無機化合物はみな、生命の出現に不可欠であることが分かっている」 (c)AFP/Patrick GALEY