【8月11日 AFP】中国政府に批判的な香港のメディアグループ、壱伝媒(ネクスト・デジタル、Next Digital)の創業者、黎智英(ジミー・ライ、Jimmy Lai)氏が同市で新たに施行された国家安全維持法(国安法)に違反した疑いで逮捕されたことを受け、同社の株価は10日、一時300%以上急騰した。ソーシャルメディア上では株価高騰に先立ち、民主派活動家らが投資家に対し、同社を支援するよう呼び掛けていた。

 香港反中派の急先鋒(せんぽう)である黎氏は同日朝、詐欺容疑に加え、国安法で新たに定められた「外国勢力との共謀」容疑で他の幹部らと共に逮捕された。黎氏が所有する地元紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」と週刊誌「壱週刊(ネクスト・マガジン、Next Magazine)」は共に民主派を明言し、中国政府に批判的な論調を展開している。

 壱伝媒の株価は当初、17%近く下落したが、直後に344%反発し、昨年6月以来最高値の0.40香港ドルに到達。最終的には183%高の0.255香港ドルで取引を終えた。

 フェイスブック(Facebook)などの交流サイト(SNS)上では株価高騰に先立ち、同社株購入の呼び掛けが行われていた。3万9000人のフォロワーを抱えるフェイスブックページ「HenryPorterBabel」は「中国共産党に対抗してきた最後の主流メディアが今にも終わりを迎えるかもしれない」と投稿し、30万株を購入する意向を表明した。

 インターネット上ではさらに、民主派の支持者に対し、蘋果日報が翌11日も発行された場合には購入するよう呼び掛ける投稿も相次いだ。民主派議員の邵家臻(Shiu Ka-chun)氏は、同紙を手にした自身の写真と共に「私はあしたの蘋果日報がたとえ白紙でも購入する」と投稿した。(c)AFP