【8月11日 AFP】(更新)レバノンのハッサン・ディアブ(Hassan Diab)首相は10日、内閣総辞職を発表した。首都ベイルートの港湾地区で先週起き、多数の死者を出した大規模爆発により政権内外から怒りが巻き起こる中、ディアブ氏自身は数十年にわたる支配階級の無能さと腐敗に責任があるとしている。

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 ディアブ氏はテレビ演説で「きょう、私たちは国民を、また大惨事の責任がある人が説明責任を果たすべきとの国民の要求を聞き入れている」とし、4日に起きた大規模爆発について、30年以上にわたりレバノンを統治してきた、「腐敗した」政治階級のせいだと非難。「こういう理由で、きょう私は内閣総辞職を発表する」と述べた。

 ディアブ政権内では爆発後、閣僚が相次ぎ辞任し、閣議ではさらに複数の閣僚が辞意を表明しており、政権の崩壊は不可避とみられていた。ベイルート中心部ではこの日、反政府デモが行われ、凝り固まった同国の政治体制の終わりを求めるデモ隊と治安部隊が再び衝突。内閣総辞職の発表はこの最中だった。同国政府は政治手腕に欠け、腐敗し、党利と世襲に支配されていると広く考えられている。

 同国保健省によると、爆発により少なくとも160人が死亡、6000人が負傷し、約20人が依然行方不明となっている。当局の怠慢に責任があるといわれる爆発は、同国の平時下で最悪の惨事となった。

 ディアブ氏の辞職発表を受け、町では車のクラクションが鳴り響き、同国北部トリポリ(Tripoli)では祝砲が撃たれた。しかし、内閣総辞職がレバノン国民の長期的な期待に応えられる可能性は低い。(c)AFP