【8月10日 AFP】訪台中の米厚生長官が10日、蔡英文(Tsai Ing-wen)総統の名前を誤って、宿敵である中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の名前に近い発音をしたと受け止められる出来事があり、台湾の野党は同日、明確な説明を要求した。

 米台断交以後に同地を訪問した米高官としては「最高位」となるアレックス・アザー(Alex Azar)厚生長官は、10日に蔡総統と会談。

 アザー氏は冒頭に、「ツァイ」と発音する蔡総統の名前の代わりに、「シー」により近い発音をしてしまった。

 その発音は気まずいことに、台湾を自国の領土と見なし、将来の統一を目指す中国の習国家主席の名前に似た「シー」の発音に聞こえてしまった。

 その少し後、アザー氏は蔡総統の名前を正確にはっきり「ツァイ」と発音していたが、野党の国民党(KMT)はこの出来事にかみついた。

 中国との間で、より穏健な関係を志向するKMTは、「衝撃と非難の意を表明するとともに、総統府が米国側に断固として抗議し、中華民国の総統は『蔡』であり『習』ではないと明確に示すことを要求する」とのコメントを発表した。

 だが総統府の報道官はKMTの要求を一蹴。「アザー長官が(蔡氏を)蔡総統と呼んでいたことに疑いはない」と述べた。

 事実上の米国大使館である台北の米国在台湾協会(AIT)はコメントを拒否した。(c)AFP