【8月10日 Xinhua News】中国陝西省(Shaanxi)北部の楡林地区ではここ十数年、陝西省考古研究院と楡林市文物考古発掘調査隊が合同で新石器時代の遺跡30カ所余りを発掘し、仰韶(ぎょうしょう)時代後期から竜山時代後期(約5千~4千年前)の文化序列をほぼ確定させた。

 多くの遺跡から見つかった動物の骨の研究により、同地区の人々が食していた主な肉類が、野生動物からウシやヒツジなどの家畜へと変化したことが明らかになり、中国北方地区の農牧交差地が約4500年前に形成されたことが分かった。

 同研究院の胡松梅(Hu Songmei)研究員によると、これらの遺跡で収集した大量のヒトや動物の骨、植物資料を動物考古学の手法で研究したところ、5千~4500年前の仰韶時代後期の大古界(だいこかい)遺跡や楊界沙(ようかいさ)遺跡などから出土した動物の骨はノウサギやノロジカ、キジなどの野生動物が中心で、家畜動物は全体の4割以下だった。ヒツジや黄牛の骨はなく、ブタやイヌの骨が中心だったという。

 4500~4300年前の竜山時代初期になると、賈大峁(ジャーダーマオ)遺跡と廟梁(びょうりょう)遺跡第2期から黄牛とヒツジの骨が見つかった。数は少ないが、同時期に牧畜経済のひな型の形成が始まったとみられる。さらに時代が下がり、4300~3800年前の竜山時代後期から夏王朝初期の石峁(シーマオ)遺跡や木柱柱梁(もくちゅうちゅうりょう)遺跡などでは、出土した動物の骨にヒツジやヤギ、黄牛、ブタなどの家畜が占める割合が8割以上となり、中でもヒツジと牛の割合が6割以上を占めた。

 動物の種類や家畜動物の割合の変化から、同地区では竜山時代を境に牧畜経済の要素が次第に高まり、中国北方で今日まで続く農牧交差地が形成されたと考えられる。胡氏は、中国北方の農牧交差地がユーラシア草原の早期青銅器文化と黄河(Yellow River)中・下流域の古代中原文化の間に位置していることから、同地域の先史時代文化と経済形態に対する研究が、ユーラシアと中原両地域における相互間の影響と融合の過程を解明する上での助けになるとの考えを示した。(c)Xinhua News/AFPBB News