【8月10日 AFP】台湾を訪問している米国のアレックス・アザー(Alex Azar)厚生長官が10日朝、蔡英文(Tsai Ing-wen)総統と会談した。台湾を訪問した米閣僚としては、1979年に米国が台湾と断交し中国と国交を樹立して以来、最高位となる。中国政府はアザー氏の訪問に強く反発している。

 アザー氏は3日間の日程で台湾を訪問。蔡氏との会談で、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への台湾の対応は、世界で最も成功した例の一つだ。これは台湾の社会と文化に根付く開放的で透明性のある民主主義の価値を立証するものだ」と述べた。

 一方の蔡氏は、中国政府の圧力により排除され続けている世界保健機関(WHO)への参加をめぐり、米国が台湾への支持を表明したことに謝意を表した。同氏は、「政治的思惑は健康を享受する権利よりも優先されるべきではない」とし、中国政府が台湾の参加を拒否していることについて「非常に遺憾だ」と述べた。

 台湾を自国の領土と主張し統一を目指す中国は、アザー氏の訪問を「平和と安定」への脅威だと非難した。

 だがアザー氏は中国の非難を一蹴し、蔡氏との会談を前に「米政府からのメッセージは、安全保障や貿易、医療、そして共通の価値観である民主主義や自由経済、人権といった観点での深い米台関係を再確認するということだ」と語り、台湾は「非常に早い段階で、あちら(中国政府)からの主張やWHOの検証の一部は信用しないと心得ていた」と記者団に述べた。(c)AFP/ Amber WANG, Amber Wang with Shaun Tandon in Washington