【8月10日 AFP】ベラルーシで9日行われた大統領選挙で、長期独裁体制を敷いてきたアレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領の得票率が79.7%との発表を受け、抗議のデモ隊と警察が衝突した。負傷者が出たとの目撃証言もある。ルカシェンコ氏はかつてない逆風にさらされている。

 政府の出口調査によると、1994年に就任したルカシェンコ大統領が対立候補で政治経験のないスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏に大差をつけて勝利。しかし、チハノフスカヤ氏はすぐに、選挙に不正があった可能性を指摘した。

 大統領選は緊迫した空気のなかで行われた。投票締め切り後に、チハノフスカヤ氏は得票率6.8%で次点だったとする出口調査結果が発表されると、野党支持者らは首都ミンスクなど複数の都市で抗議のデモを行い、盾を持った警官らと衝突した。ミンスク中心部の記念碑周辺には数千人のデモ参加者が集まった。

 米国が出資するラジオ・リバティー(Radio Liberty)の映像には、警察はスタングレネード(閃光〈せんこう〉と爆音を放つ手りゅう弾)を使用しながら前進してデモ隊を排除し、大勢の人が逃げる様子が捉えられていた。放水銃やゴム弾も使用されたと報じられている。

 ある目撃者はAFPに、ミンスクの衝突で複数の負傷者が出ていると語った。ソーシャルメディアには顔が血だらけになった複数のデモ参加者の画像が投稿された。

 専門家らが選挙に不正があったと指摘する一方で、国営通信ベルタ(Belta)は10日、内務省の発表として、「警察は無許可の大規模集会を取り締まっており、状況を掌握している」と伝えた。

 AFPが取材した内務省報道官は、デモでの負傷者の有無について明らかにしなかった。

 反体制派は、選挙では不正があるだろうと述べていた。チハノフスカヤ氏は投票締め切り後に行った記者会見で、ルカシェンコ氏の勝利を示す選挙結果は信用しないと表明。「私は自分の目で見たことを信じる。私は大多数がわれわれの側にいるのを見ている」「われわれはすでに勝利している。なぜなら、恐怖や無関心、無感覚に打ち勝ったのだから」と述べた。

 最初の公式開票結果は10日に発表される見通しとなっている。(c)AFP/Tatiana Kalinovskaya