【8月10日 AFP】(更新)香港の警察当局は10日、中国政府を公然と批判してきた香港メディア界の大物で、民主派の香港紙「蘋果日報(アップル・デーリー、Apple Daily)」創業者の黎智英(ジミー・ライ、Jimmy Lai)氏を、国家安全維持法(国安法)違反の容疑で逮捕した。黎氏の同僚と警察が明らかにした。

 黎氏の経営するメディア企業「壱伝媒(ネクスト・デジタル、Next Digital)」本社にも家宅捜索が入り、黎氏の他に同社の社員6人が同じく国安法違反の疑いで逮捕された。

 黎氏の同僚マーク・サイモン(Mark Simon)氏は、AFPに「(黎氏は)自宅で午前7時ごろに逮捕された」と語った。これに先立ちサイモン氏は、ツイッター(Twitter)に「ジミー・ライは外国勢力との共謀の容疑で逮捕された」と投稿し、黎氏とその息子の自宅がそれぞれ家宅捜索を受けたと述べていた。

 警察発表によると、黎氏ら7人の逮捕容疑は外国勢力との共謀と詐欺だという。

 黎氏が所有する「蘋果日報」と週刊誌「壱週刊(ネクスト・マガジン、Next Magazine)」は共に民主派を明言し、中国政府に批判的な論調を展開している。

 中国国営メディアは黎氏を「裏切り者」とみなし、昨年の大規模な民主派デモの最大の「黒幕」で、外国と共謀して祖国の弱体化をもくろむ新たな「四人組」のリーダーだと非難している。

 黎氏は6月中旬、国安法施行の2週間前にAFPの取材に応じ、同法を「香港にとっては死の鐘」だと批評。「獄中に入る覚悟はできている。その時が来たら、まだ読んでいない本を読む機会が持てるだろう。前向きになることしかできない」と述べていた。(c)AFP/Jerome Taylor and Su Xinqi