【8月10日 AFP】ルネサンス期のイタリアの芸術家ラファエロ(Raphael)の顔が頭蓋骨の石こう像を基に3Dで復元され、長年謎とされていた埋葬場所が特定された。ローマのトル・ベルガータ大学(Tor Vergata University)が6日、AFPに明らかにした。

 幼少期から神童ともてはやされ、ミケランジェロ(Michelangelo)やレオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)と並んでルネサンスの三大巨匠とされるラファエロは、1520年に37歳の若さでこの世を去った。ローマの古代神殿「パンテオン(Pantheon)」にあるラファエロの墓には一年中、赤いバラの花が供えられている。

 ラファエロの遺体は19世紀に掘り起こされ、頭蓋骨の石こう像が作られた。だが掘り出した場所には、別の人物のものと思われる全身または体の一部の骨もあったため、専門家らは遺体が実際にラファエロのものかは確定できていなかった。骨の一部は、ラファエロの弟子のものだと判明している。

 今年はラファエロの没後500年に当たることから、トル・べルガータ大学の研究チームは3Dによる復元を行った。

 分子生物学専門家マッティア・ファルコーニ(Mattia Falconi)氏はAFPに対し、3Dで復元された顔は、同時代の芸術家による肖像画やラファエロによる自画像と明らかに一致していたと話した。「1833年に掘り出された頭蓋骨が、ラファエロのものだという、初めての具体的な証拠だ」

 ファルコーニ氏は、3Dによる復元は「元の顔の80%しか捉えられないが、今回の結果に疑問の余地はない」と指摘する。同じ場所に埋葬された弟子たちにも似ておらず、非常によく似た他人にしては一致点があまりにも多いという。

 またファルコーニ氏は、唯一復元できない顔の部位は「耳」だとし、「幸運にもラファエロは髪が長かったため耳が隠れていた」と述べた。

 3Dで復元されたラファエロの胸像は、イタリア・マルケ(Marche)州ウルビーノ(Urbino)にあるラファエロの生家を改造した博物館に展示される。(c)AFP/Ella IDE