【8月9日 AFP】イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)は8日、マウリツィオ・サッリ(Maurizio Sarri)監督を解任し、そのわずか数時間後、同クラブとイタリア代表で活躍したアンドレア・ピルロ(Andrea Pirlo)氏を後任に指名した。

 ユベントスは欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2019-20)でオリンピック・リヨン(Olympique Lyon)に敗れた翌日、サッリ監督を解任し、先日クラブのU-23チームの指揮官に就任したばかりで、トップチームの指導経験はないピルロ氏と2年間の契約を結んだ。

 クラブは「ピルロはこれがベンチデビューだが、才能ある一流のチームを率いて新たな成功を目指せる資質を持っている。その信念に基づいてこの選択をした」「きょうからサッカー界での彼のキャリアの新章が始まる。マエストロ(司令塔)からミステル(監督)へ」と発表した。

 アンドレア・アニェッリ(Andrea Agnelli)会長は、チャンピオンズリーグ敗退の翌日にすぐさまピルロ体制への移行を決めるという、またしても大胆な選択をした。

 ジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)監督やフランク・ランパード(Frank Lampard)監督、ジェンナロ・ガットゥーゾ(Gennaro Gattuso)監督といったOBがかつての所属クラブを率いるケースは少なくないが、ピルロ新監督には指導経験がない。

 しかし、ユベントスの選手として2011年から2015年まで活躍したピルロ新監督は、ユベントスと現在の所属選手のことをよく知っている。

 クラブは「ピルロは選手としてレジェンドと言えるキャリアを過ごした。センターハーフでプレーしたユベントスでの4年間で、リーグタイトル四つとイタリア杯(Italian Cup)一つ、イタリア・スーパーカップ(Italian Super Cup)二つを獲得している」と話している。ACミラン(AC Milan)時代にも他にリーグ優勝2回、チャンピオンズリーグ制覇2回を経験した。

 一方のサッリ前監督は、イングランド・プレミアリーグのチェルシー(Chelsea)でヨーロッパリーグ(UEFA Europa League 2018-19)を制覇した後の昨年夏、ユベントスと3年契約を結んだが、約束していたプレースタイルの刷新を実現できず、わずか1年でクラブを去ることになった。

 チームは1996年以来3度目となるチャンピオンズリーグ制覇を目指していたが、決勝トーナメント1回戦で敗退。国内スーパーカップとイタリア杯も決勝で敗れ、セリエAでも9季連続のスクデット(リーグ優勝)を獲得したが、最後はインテル(Inter Milan)とわずか勝ち点1差だった。

 アニェッリ会長は、「チャンピオンズリーグは以前は夢だったが今は目標であり、今回のような敗退の仕方はクラブと選手、ファンにとって失望だった」「われわれは冷徹かつ明快な分析をする必要があり、また数週間後に迫っている新シーズンも勝利への熱意と欲求を維持しなければならない」と話した。

 41歳のピルロ新監督は、42歳になるGKのジャンルイジ・ブッフォン(Giangluigi Buffon)ら、かつてのチームメート何人かと指導者と選手として再会する。ブッフォンはツイッター(Twitter)に「じゃあ、これからは君をミステルって呼ばなきゃならないのか? 新たな挑戦に臨むアンドレアの幸運を祈る!」と書き込んだ。(c)AFP/Emmeline MOORE