【8月7日 AFP】不正疑惑で捜査を受け、亡命の意向を発表していたスペイン前国王のフアン・カルロス1世(Juan Carlos I、82)が、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビに渡ったと、スペイン全国紙ABCが報じた。

 メディアはこれまで亡命の可能性のある場所として、ポルトガルやドミニカ共和国を挙げてきたが、特定には至っていない。スペイン王室は、前国王の居住地の公表を拒否しており、必要ならば自ら発表するだろうとしている。

 王室寄りのABCは、前国王が3日、側近1人、ボディーガード4人と共に、北西部の都市ビゴ(Vigo)からプライベートジェットに乗ったと伝えている。飛行機は7時間後にアブダビに到着したという。

 さらに同紙は、前国王は高級ホテル「エミレーツパレス(Emirates Palace)」に滞在し、パパラッチを避けているとも報じている。ただホテルの総支配人はAFPに対し、前国王の滞在を否定し、VIP客は一人もいないと話した。

 前国王は長年、ペルシャ湾(Persian Gulf)岸の君主諸国と親交があり、スペイン紙はサウジの故アブドラ前国王(King Abdullah)から、フアン・カルロス1世のスイスの銀行口座の一つに1億ドル(約105億円)が振り込まれたと伝えている。

 前国王は3日、不正疑惑に対する捜査を受け、息子であるフェリペ6世(King Felipe VI)の地位を守るため、国外に亡命する意向を明らかにしていた。(c)AFP