【8月7日 AFP】アルプス(Alps)最高峰モンブラン(Mont Blanc)の氷河の一部が急激な気温上昇により崩落する危険が迫っているとして、イタリア北西部のスキーリゾート、クールマイヨール(Courmayeur)では6日、住民ら75人が避難するなど警戒態勢を敷いた。

 アオスタ渓谷(Aosta Valley)自然災害管理当局のバレリオ・セゴール(Valerio Segor)氏は記者会見で、プランパンシュー(Planpincieux)氷河から推計50万立方メートルの氷塊がせり出していると説明。大きさの比較としてミラノ大聖堂(ドゥオモ、Duomo)や「サッカーグラウンド全面が高さ80メートルの氷で覆われた状態」を引き合いに出し、「どのような崩落の仕方であっても相当の被害が出かねない」と警鐘を鳴らした。

 専門家らはこのところの気温上昇の影響で、この巨大な氷塊が崩落して斜面を滑り落ち、フランス国境に近い風光明媚(めいび)なクールマイヨール東部の民家を巻き込む恐れがあると指摘している。

 セゴール氏によると、氷塊は標高約2600〜2800メートルの位置にあり、氷河本体から徐々に剥がれ落ちつつある。気温が上下を繰り返すことで、不安定な状態にある氷塊が熱衝撃を受け、いつ崩壊してもおかしくないという。また、氷河の下を流れる水が「滑り台」と化す恐れもあるという。

 クールマイヨールの当局は5日夜に警報を発令。住民15人を含む75人が6日、避難を開始した。町の下方に位置し登山客に人気の渓谷バルフェレット(Val Ferret)への道は閉鎖された。(c)AFP/Marco Bertorello with Alexandria Sage in Rome