【8月11日 AFP】草食動物は、哺乳類でも鳥類でも爬虫(はちゅう)類でも、肉食動物より絶滅のリスクが高いとの研究論文がこのほど、発表された。現存種と絶滅種合わせて2万4500種を対象とした広範囲の調査に基づく研究結果だという。

 米科学誌サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)に掲載された論文では、過去5万年間では草食動物は食物網を構成する他の生物よりも絶滅までのペースが速く、この傾向は今日まで続いていることが示唆されている。

 これまでの説では、肉食動物は広い行動域を持ち、個体数の増加率も低いため、絶滅リスクが最も高いと事例証拠に基づいて提唱されているが、今回の結果はこの説を否定するものとなった。

 中でも絶滅の危険性が最も高いのは、カメなどの草食性の爬虫類とゾウなどの大型草食動物とされた。

 米ユタ州立大学(Utah State University)などの研究チームはまず、食物網のさまざまな段階に位置する哺乳類、鳥類、爬虫類の草食、雑食、肉食動物における現代の絶滅リスクの傾向を調べた。

 次に同様の分析を、後期更新世の生物種に対して実行した。アフリカ、北米、南米大陸については1万1000年前から、オーストラリア大陸は5万年前からの年代をそれぞれ対象とした。

 研究チームは最後に、現存する生物種2万2166種を対象に、体の大きさと食物網内の位置が絶滅危機のレベルにどのような影響を与えるかを調査した。

 草食動物の減少傾向の理由は複数存在すると考えられるが、特定の人為的介入がより大きな影響を及ぼすことが考えられると、論文の執筆者らは記しており、「侵略的外来生物の脊椎動物(ネズミなど)、昆虫(ヒアリなど)、植物(ホッテントットイチジクなど)などはすべて、爬虫類複数種の減少さらには絶滅にも関係している」と指摘された。

 他方で、小型の草食性鳥類に極端な悪影響を及ぼしているとみられるのは、侵略的外来生物、汚染、生息地の改変といった要素だった。

 例外はある。海洋環境に生息する肉食動物が直面している絶滅リスクの上昇だ。これは、種の存続に対する圧力が陸上に生息する肉食動物よりも大きいことを示唆しているという。(c)AFP