【8月6日 AFP】フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は6日、大規模爆発で壊滅的な被害を受けたレバノンの首都ベイルートを視察した。支援を約束するとともに、レバノンの政治や社会の改革を要請した。

 4日の大規模爆発では、少なくとも137人が死亡、数千人が負傷。悲しみと怒りを招いたこの大惨事による被害総額は、数十億ドル規模に上るとみられている。

 マクロン大統領はベイルート到着時に「レバノンは独りではない」とツイッター(Twitter)に投稿。その後、フランス政府が国際的な救援活動の調整役を担うと表明した。

 一方でマクロン氏は、爆発発生前から深刻な経済危機に陥り、救済を痛切に必要とする中で政治的混乱にも見舞われているレバノンに対し、改革に早急に着手しない限り「没落の一途をたどることになる」と忠告した。

 港湾地区の管理のずさんな倉庫の中に何年も放置されていた大量の硝酸アンモニウムが引き起こしたとされるこの大爆発を、多くのレバノン人は国家体制の中核における深い腐敗の証拠とみなし、国民は怒り心頭に発している。

 マクロン氏が大きな被害を受けた薬局を視察した際には、外に集まった市民が怒りを爆発させ、自国の政治家らを「テロリスト」と非難。「改革」や「国民は政権の終わりを望んでいる」といった声が響いた。

 ある男性がマクロン大統領に向かって、「ここ(レバノン)へ来て統治してください!」と叫ぶと、大統領はレバノン指導部に対し「新たな政治合意」を受け入れ、「体制を一新させ、レバノンの分断に終止符を打ち、汚職と闘う」よう促していくと答えた。

 今回の甚大なる悲劇の発生以降、現場を視察した外国首脳はマクロン大統領が初めてとなった。フランスはレバノン国外からの支援の陣頭に立っている。同国には5日から、医療支援物資や野営病院向けの機器が航空機で届けられている他、救助専門班や捜索犬が到着している。(c)AFP/Jean-Marc Mojon