野戦病院と化した医療現場 医師「終末戦争そのもの」 レバノン大爆発
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【8月6日 AFP】レバノンの首都ベイルートの港湾地区で4日に起きた大爆発は、市内の病院を「終末戦争」さながらのカオスに陥れた。
市中心部のオテル・デュー病院(Hotel Dieu Hospital)で5日、AFPの取材に応じた外科医、アントワーヌ・カーバン(Antoine Qurban)氏は、患者と同じように頭に包帯を巻いていた。60代後半のベテラン医師は普段自分が勤務する病院でこの日、患者の側にいた。
「負傷して道路の真ん中で血を流している人もいれば、病院の中庭に倒れ込んでいる人もいた……昔、国境なき医師団(MSF)でアフガニスタンへ行ったときのことを思い出した」「ハルマゲドン(キリスト教の終末戦争)そのものだった」
大爆発による負傷者は4000人以上。市内各地の病院も激しく損壊した。その病院に負傷者はよろめきながらたどり着き、あるいは運び込まれた。4日夜、病院はどこも負傷者であふれていた。
今回の大爆発によって、すでに新型コロナウイルスの流行と深刻な経済危機の中で悪戦苦闘していたレバノンの医療機関に、さらに大きな負荷がかかっている。
4日午後6時(日本時間5日午前0時)ごろ、職場近くのコーヒーショップにいたカーバン医師は、爆風で20メートルほど吹き飛ばされた。自分の病院は数分で負傷者があふれかえり、見知らぬ人がバイクで他の病院へ急送してくれた。1時間ほど待たされた後、路上で頭の傷を縫ってもらった。