23歳新鋭がレース事故で昏睡、所属先は「犯罪行為」と非難 自転車
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【8月7日 AFP】(写真追加)自転車ロードレース、ツール・ド・ポローニュ(Tour de Pologne 2020)で5日、ドゥクーニンク・クイックステップ(Deceuninck Quick Step)のファビオ・ヤコブセン(Fabio Jakobsen、オランダ)が時速80キロでバリアーに激突して昏睡(こんすい)状態となり、命の危機にさらされている。
映像では、23歳のヤコブセンが混戦となった最後のスプリントで、同じくオランダ出身でチーム・ユンボ・ビスマ(Team Jumbo Visma)に所属するディラン・フルーネヴェーヘン(Dylan Groenewegen)と肘がぶつかる距離でデッドヒートとなる様子が映されている。
新鋭スプリンターのヤコブセンは、フルーネヴェーヘンが右に急に進路を変えたため防護壁に押し付けられる形となり、宙で一回転してフェンスを乗り越え、カメラマンと衝突する最悪の状況に陥った。
ショッキングな第1ステージの結末となった大会のドクターは、ポーランドのテレビ局ポルサット・スポーツ(Polsat Sport)に対し、「彼は非常に深刻な状態だ。生命の危機にさらされている」とコメント。「残念ながら頭部と脳の損傷は重大で、出血も多量だ」
国際自転車競技連合(UCI)はフルーネヴェーヘンの「危険行為」を厳しく非難。また、クイックステップのパトリック・ルフェーブル(Patrick Lefevere)代表は同選手の動きを「犯罪行為」と表現した。
その後、病院関係者はヤコブセンは「重体」だが容体は「安定している」と明かしている。
ポーランド南部ソスノビエツ(Sosnowiec)にある病院の神経科医は、「患者は重体で搬送されてきて、人工的な昏睡状態に置かれた。容体は安定してきている。頭部と胸部に複数の損傷がある」と話した。「集中治療室に入り頭蓋と顔の手術を受けることになる。顎と形成外科の専門家による介入が不可欠だ」「手術のタイミングは患者の健康状態次第だ」
なお、1年前の前回大会では、22歳のベルギー人ライダー、ビョルグ・ランブレヒト(Bjorg Lambrecht)選手がレース中に落車し、コンクリートの橋に衝突して死亡している。
トップでフィニッシュラインを切ったのはフルーネヴェーヘンだったが、その後失格となり、悲劇に見舞われたヤコブセンのステージ優勝が発表された。
一方、ユンボ・ビスマはフルーネヴェーヘンの行為を「心より謝罪する」と発表している。「ファビオ・ヤコブセン、そしてツール・ド・ポローニュで起きたきょうの悲惨なクラッシュに巻き込まれた人たちを気の毒に思う」「こういった事故は起きてはならない。心より謝罪し、次に発表を行うまでに起きたことについて内部で話し合う」 (c)AFP