【8月6日 AFP】インドで5日、ヒンズー教徒とイスラム教徒が対立していた聖地に建設されるヒンズー教寺院の定礎式が開かれ、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相(69)も出席した。同日には、イスラム教徒が多数を占めるジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州の自治権を政府が剥奪してから1年を迎え、モディ政権にとっては記念すべき日となった。

 北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州にある聖地アヨディヤ(Ayodhya)と、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方は、インドの過去30年間における最大の係争地に数えられ、モディ首相は両方の問題に決着をつけようとしている。

 アヨディヤでは長年宗教的な争いが絶えず、同国史上最悪規模の暴力の火種となってきた。

 同地には数百年の歴史を持つモスク(イスラム礼拝所)があったが、ヒンズー教の重要なラーマ(Ram)神の生誕地であることを理由に、1992年にヒンズー教徒の暴徒によって破壊された。これをきっかけに、ヒンズー教徒とイスラム教徒の間で暴動が起き、2000人が死亡。死者の大半がイスラム教徒だった。

 その後も法廷闘争が長く続いたが、最高裁は昨年11月、聖地をヒンズー教徒のものとする判断を示した。ヒンズー国家主義を掲げるモディ氏のインド人民党(BJP)にとって大きな勝利となり、今回の寺院の建設につながった。

 BJPは、ジャム・カシミール州の自治権についても歴史に照らして誤りとみなし、昨年8月5日にモディ氏がこれを剥奪した。

 一方カシミール地方のパキスタン側では、同国のイムラン・カーン(Imran Khan)首相が4日、カシミール全域がパキスタンの一部だとする新たな地図を公開。

 カーン首相は5日、「われわれもカシミール人も決して、インドによる違法行為やカシミール人弾圧を認めない」と強調した。(c)AFP/Sanjay Kanojia with Parvaiz Bukhari in Srinagar, Kashmir