【8月5日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は4日、2年おきに多発する、主に子どもが発症する原因不明の希少疾患「急性弛緩(しかん)性脊髄炎(AFM)」が、今後数週間から数か月以内に急増する可能性があると警告した。

 CDCによると、AFMの原因はウイルスである可能性が高く、呼吸不全による永久的なまひや、命にかかわる合併症を引き起こす可能性がある。

 CDCのロバート・レッドフィールド(Robert Redfield)所長は4日、電話で報道陣の取材に応じ、「AFMは症状が急激に進行して呼吸不全をもたらすおそれがあるため、医師の手当てと監視が直ちに必要とされる緊急事態だ」と説明した。

 同所長によると、AFMでは神経系、具体的には脊髄の灰白質と呼ばれる部分が影響を受け、患者の大半は突然、腕または足の脱力を経験する。

 AFMは2014年以降、2年おきに8月から11月の間に急増する。2018年に米国で特定されたAFM患者は238人で、平均年齢は5歳だった。数時間から数日でまひが発生し、医師にできることはほとんどなく、治療法も分かっていない。

 2018年の症例を対象に実施された研究によると、AFMの初期症状は発熱と呼吸器症状で、兆候がみられてから6日ほどで手足が脱力する。歩行困難や、首、背中、四肢の痛みなどを伴う場合もある。

 永久的なまひに加え、AFMは重度の呼吸器合併症をもたらすこともあり、患者の約4分の1は人工呼吸器が必要になる。

 原因として最も可能性が高いのはエンテロウイルスで、特にエンテロウイルスD68は患者約30人から検出されている。

 ただしCDCの専門家は、他のウイルスが原因である可能性も排除できないと指摘している。(c)AFP