■記憶から薄れて

 被爆者の高齢化が進むと同時に、それぞれの思いは次世代の活動家に引き継がれている。活動家の多くは広島と長崎出身で、原爆の被害を生き延びた人たちの体験を聞きながら育った世代だ。

 そうした活動家の一人である林田光弘(Mitsuhiro Hayashida)さん(28)は長崎で被爆した生存者の孫で、原爆投下当時を知る人たちから体験談を聞く会を開いている。

 林田さんは、核兵器の廃絶を求める国際的なオンライン嘆願書の管理も手伝っている。これまでに集まった署名は1100万人分以上に上るという。

 しかし、林田さんもまた、原爆が人々の記憶から薄れてしまっている現状に不安を覚えると話す。

 AFPの取材で林田さんは、「いま、二世三世の人たちが活動しているが、私たちの言葉は二世三世の言葉で…被害当事者の言葉ではないので、その重みは半分以下だと思う」と語った。

「核兵器の被爆者がいる今、廃絶に向かってみんなが向くということ…それは本当に早くやらなければいけないと思っています」

 そのような思いは、今月83歳になるという小倉桂子(Keiko Ogura)さんにも届いている。広島に原爆が投下された当時、小倉さんは8歳だった。

 小倉さんは先月、記者らに対し「いま私たちは年を取っている。いつ死ぬかもわからない」「私たち年を取った被爆者はできるだけ早く核兵器廃絶っていうことを願うのです。自分たちが死ぬ前に、それを亡くなった人たちに伝えたいのです」と語っている。(c)AFP/Kyoko HASEGAWA