【8月8日 AFP】ベラルーシの主婦で2児の母親であるスベトラーナ・チハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏(37)は、大統領選に立候補する野望などこれまで全くなかった。だがハリウッド(Hollywood)映画顔負けの展開を経て、たった数週間で無名の個人から、9日の選挙で6選を目指す現職アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領にとっての最大の対立候補となった。

 チハノフスカヤ氏の大統領選出馬の目的は、身柄を拘束されている夫セルゲイ・チハノフスキー(Sergei Tikhanovsky)氏(41)の解放と、旧ソ連構成国である人口950万人のベラルーシに切望されている自由を勝ち取ることだ。

「私は夫をとても愛している。彼が始めたことは私が続ける」と述べ、そして「私はベラルーシ市民を愛している。人々に選択の機会を与えたい」とも話す。

 英語教師であるチハノフスカヤ氏は、数か月前に大統領選への出馬を決めた。ユーチューブ(YouTube)で人気のある夫のチハノフスキー氏が拘束され、大統領選への名乗りを妨げられたことがきっかけだった。

 選挙管理委員会は、より強力な対抗馬になるとみられていた有力候補2人を選挙戦から排除したが、チハノフスカヤ氏の立候補については認めた。

 しかし、ふたを開けてみれば、政治経験がないにもかかわらずチハノフスカヤ氏はたちまち有力な対立候補となった。その人気ぶりは、無数の人が街頭に出て支持を表明していることからもうかがい知ることができる。

 自らについて「普通の女性、母そして妻」と表現するチハノフスカヤ氏だが、集会では変化を呼び掛け、支持者らを鼓舞する。

 彼女の存在を快く思っていない人もなかにはいる。チハノフスカヤ氏は、これまでにいくつもの脅迫を受けていることを認めたが、それでも選挙戦は最後まで戦い抜くつもりだと話している。