■辺り一面、遺体

 爆発地点に最も近い場所にあった車両はスクラップ工場の鉄くず同然となり、鳴り響く警笛や点滅するライトが現場の混乱を深めていた。

 疲弊した消防隊員たちが、2度起きたうちの最初の爆発で出動した同僚らを捜索していた。治安部隊の助けを得て、遺体を探す市民防衛隊。集まった報道陣に隊員の一人が「何を撮るっていうんだ? 辺り一面、遺体だらけだ」と怒声を浴びせていた。同僚の一人が遺体となってストレッチャーで運ばれてくると、治安部隊の隊員らは一斉に泣き崩れた。

 5日午前2時(日本時間同8時)までに確認された死者は73人。だが、3000人以上が負傷し、病院では対応に苦心しており、最終的な死者数が増えるのは避けられないだろう。

■炎のきのこ雲

 停泊していたある船舶が、きのこ雲のように広がった炎で燃え上がったとき、当局は燃料への引火による二次災害の悲劇を恐れ、パニックとなった。

 別の貨物船2隻の船員ら約10人が、爆発現場近くの歩道に座り、医師の治療を待っていた。そのうちの1隻メロ・スター(Mero Star)のエジプト人乗組員は、「船は海に沈みつつある。爆発で船に穴が開き、まだ船内に重傷者がいる」と語った。

 別の乗組員は「爆竹のような音が聞こえ、倉庫から煙が上がるのが見えた。それから数分して、爆発が起きた」と語った。(c)AFP/Layal Abou Rahal