【8月4日 AFP】オーストラリアの有名な一枚岩「ウルル(Uluru、エアーズロック、Ayers Rock)」のある国立公園が4日、先住民からの強い要求により閉鎖された。先住民は新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、聖地である同公園に観光客らが入場するのを阻止していた。

 地元社会の問題に対応するムティジュル・コミュニティー・アボリジナル・コーポレーション(Mutitjulu Community Aboriginal Corporation)のグレン・アーバイン(Glenn Irvine)氏によると、新型ウイルス感染症に見舞われている豪東部から到着した観光客数十人が公園の入り口を通行するのを、地元住民約30人が物理的に阻止したという。

 地元住民は、クイーンズランド(Queensland)州ブリスベン(Brisbane)発の航空便で観光客43人が到着したことに困惑し、行動を起こすことを決めたとされる。

 アーバイン氏はAFPに対し、「われわれは、同便は運航中止されたものと理解していた」と明かし、「国立公園の閉鎖を求めていた」にもかかわらず実施されなかったことから、「地元住民が公園の門に集まった」と説明した。

 4日に地元当局と緊急協議を行った結果、公園は閉鎖されたままとなった。

 ウルルカタジュタ国立公園(Uluru-Kata Tjuta National Park)当局は、「われわれはウルルカタジュタの伝統的所有者らに対し最大限の敬意を払っており、ムティジュル住民の安全を守るため、伝統的所有者らおよび全当事者と誠意をもって連携し続けている」と表明した。

 豪国立公園を管理するパークス・オーストラリア(Parks Australia)によると、昨年6月までの1年間に同園を訪れた人は39万5000人超に上ったという。

 アーバイン氏は、周辺にとどまっている観光客らは新型ウイルス検査を受け、同感染症の「ホットスポット(局地的流行地)」からの旅行グループは今後受け入れないという、暗黙の了解が得られたとしている。

 多くの先住民グループは、同ウイルスの感染が広がれば、アウトバック(Outback)と呼ばれる内陸部のコミュニティーに甚大な影響を及ぼしかねないと懸念している。

 ウルルを含む北部特別地域(Northern Territory)への旅行は、同ウイルスの世界的な大流行が始まって以降、厳しく制限されている。(c)AFP