【8月7日 AFP】11月の米大統領選への出馬を表明したラッパーのカニエ・ウェスト(Kanye West)さんは、過去に双極性障害で苦しんだことについて明かしている。俳優のスティーヴン・フライ(Stephen Fry)さんやファッションデザイナーの故アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)さんら有名人も、自身が双極性障害と診断されたことを公表している。発症率は人口の最大3%とされる。どんな病なのか、そしてこの疾患がなぜ創造的な人々に関連付けられることが多いのかを探ってみた。

■激しい気分の浮き沈み

 双極性障害は以前は「そううつ病」と呼ばれ、極端な気分の浮き沈みを特徴とする。

 患者が経験する極端な症状の一つは、「そう」と呼ばれる極度の高揚感だ。エネルギッシュで意気盛んとなり、無謀な決断を下したり、妄想を伴ったりすることもある。

 米ハーバード大学(Harvard University)精神医学科のアンドルー・ニーレンバーグ(Andrew Nierenberg)教授によると、「双極性障害の患者は抑制がほぼ利かないため、生涯の貯金を1日で使ってしまうことがある」という。

「普通ならしないような判断ミスを、性的な面や人間関係、仕事で犯してしまうことがある」

 この病気のもう一方の極端な症状は、うつだ。喜びを感じることができなくなり、自殺を考えることもあるほど、極度に気分が落ち込む。実際、双極性障害の患者は、そうではない人々に比べて自殺率が10~30倍高い。

 ウェストさんは2018年のアルバム「Ye」で、自身の病名を初めて公表。その中でこの病気を自分の「スーパーパワー」と呼んでいる。

 昨年、この病気が原因で偏執性妄想が起きたことを明かし、治療中には手錠をはめられたとも語っている。先月行った初の選挙集会では、とりとめのない演説を続け、泣き出す場面もあった。