【8月4日 東方新報】米ビジネス誌フォーチュンの中国語版サイトはこのほど、2020年フォーチュン中国企業500強ランキングを発表、民営企業ではEコマース大手の京東(JD.com)が前年より4位あがって第13位にランキングされ、インターネット関連企業の勢いを反映している。

 このランキングは中国上場企業について、過去一年の業績と成果を総合して格付けしたもので、中国で目下、一番信頼されている企業の成績表といえる。

 今年の500強企業ランキングでは、中国上場企業の総売り上げ収入が50兆5000億元(約766兆円)に上り、前年比11%増。純利益は4兆2000億元(約63兆7468億円)で前年比16%増となった。500強に入るかどうかの閾値(いきち)は178億元(約2701億円)で、前年比で10%近く上昇した。昨年、中国のGDPは99兆元(約1502兆円)を突破、これは上場500強企業の売上総額が中国のGDPの半分以上を占めているということでもある。500強企業のうち、トップスリーは相変わらず、中国石油化工(シノペック、SINOPEC)、ペトロチャイナ(PetroChina)、中国建築(China State Construction Engineering Corporation)の三大国有企業が占めた。第4位は中国平安保険(Ping An Insurance)で非国有としては最高位。民営上場企業としてのトップはEコマース大手の京東とで13位。次に阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)が18位についた。

 注目の京東集団は2019年の純収入が5769億元(約8兆7561億円)で、前年比24.9%増。これは500強企業の平均成長率11%をはるかに超えている。京東の2019年の収入中、純サービス収入は44.1%にのぼった。京東集団の目を見張る成長は、「サプライチェーンを基礎にした技術・サービス企業」という立ち位置を明確にし、小売り、デジタル科技、物流、技術サービス、健康、保険、産業発展、LinkedIn(クラウド&AI)、海外サービスなどの広範囲に業務を拡大したことだろう。目下中国最大の小売りプラットフォームに成長し、技術駆動力を小売りに生かした一つの典型の企業となった。デジタル、ビッグデータ、人工知能(AI)などの技術を使いコストの低下と利益効率の増強、そしてユーザーにとっての最適化を実現している。京東は目下、世界4億人のユーザーと700社以上の金融機構と30都市以上の政府および公共機関にサービスを提供している。

 京東は6月18日に香港メーンボードに上場、集めた資金はサプライチェーンを基礎とする関連技術のイノベーションに投じ、顧客サービスと運営効率を増強していくという。

 500強企業全体を、業種別にみると、インターネット企業の純利益が伸びており、ランキング入りした業界別利潤でいえば前年比300%増と勢いがある。

 このほか登録制と中国版ナスダック「科創板」創設などの政策もあって、国内資本市場に上場する優良企業が増えている。今年のランキング企業の中には、国内資本市場への上場企業が366社あり、過去最高水準を記録した。

 このうち今年一年で新たに上場、あるいは再上場した企業は39社。この中でも、共同購入Eコマース企業の拼多多(Pinduoduo)は初のランキング入りで、301億元(約4569億円)の売り上げで321位に入った。ネット企業のなかではもう一つ、注目に値する「新入り」企業はゲームライブストリーミングビジネスの歓聚(JOYY)で、256億元(約3886億円)の売り上げで359位。また不動産投資・管理の大悦城(Joy City)、アフリカのスマートフォン市場を席巻する伝音科技(Transsion)も新たにランキング入りしている。

 純利益においては、最も稼いだトップ10企業は、数社の大商業銀行、保険企業を除き、依然として、アリババ、中国移動通信集団(チャイナモバイル、China Mobile)、騰訊(テンセント、Tencent)が入った。

 このトップ10企業だけで昨年の総純利益は1.7億元(約25億円)で、全500企業の総純利益の40%を占めている。

 こうした今年の500強企業の内訳を分析した長江商学院(Cheung Kong Graduate School of Business)の李偉(Li Wei)教授は「資源分配のずれ」問題を指摘している。「国有企業が(ランキング上位の)優勢を占めるが、民営企業の利益効率の方が明らかに上だ。だが、資源が絶えず集中するのは後者ではない。効率的なセクターから非効率的なセクターへの資源配分のずれが起きている」という。さらに「将来的にやるべきことは金融改革であり、金融領域の民営企業に対する差別的な制限や国有企業の潜在的な剛性兌付(硬直した元金保証)意識を打破せねばならない」として「これができないと、中国経済の目下の難局は打ち破れないし、これができて初めて、中国が『中等所得国のわな』を乗り越えて、順調に先進国メンバー入りできるのである」と強調した。(c)東方新報/AFPBB News