【8月4日 People’s Daily】マングローブは神秘的な海洋植物の群落だ。

 熱帯・亜熱帯の淡水と海水が混じる海岸潮間帯では、植物は潮の満ち引きとともに海水に漬かる。樹冠の部分が水面上に出ている場合もあり、完全に水没する場合もある。

 その生態は、サンゴ礁・塩性沼沢・海草床など同属性の典型的な海洋生態系と比べても、さらに神秘的である。

 2004年12月26日に人々を震撼(しんかん)させたスマトラ島沖地震の際、繁茂したマングローブのおかげで津波の難を逃れたインドの漁村もあった。

 マングローブはさまざまな顔を持つ。数多くの鳥にとって生息地であり、驚くほど多くの二酸化炭素を取り込み、根の発達によって海の波や潮の浸食を食い止め、堤や干潟や農地を守り、塩害を防ぎ、魚やエビに生きる場を与えている。

 中国のマングローブは37種あり、浙江省(Zhejiang)の南部海岸を北限に、主に中国南部の沿岸に分布している。

 しかし、マングローブは地球の気候変動と人間の活動の影響で絶滅の危機に直面している。

 1980年から2000年の間に、地球上のマングローブのうち35%が消失し、毎年平均で15万ヘクタールの消失が起きている。1950年代には中国のマングローブの面積は5万ヘクタールあったが、2000年には2万2000ヘクタールまで急速に減った。

 外来生物の侵入や、周辺住民の活動と虫害がその原因であり、最大の脅威は人間の活動であるという。

 近年、沿海都市では海岸に埋め立て地を造り、工場を建て、企業の排水汚染や海岸での養殖によって、マングローブは生命の危機にひんしている。海に頼って生活する人々にとっても、マングローブは生活の糧であり、潮が引くたびに人々はマングローブに群がる。中には違法に電気を流して魚を捕る者もあり、人の食料と引き換えに魚の数も、鳥の食料も減っている。

 マングローブ植物の中には果実をつける種類のものもあり、広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)の沿海住民は伝統的にこの実を収獲してきた。しかし経済的利益のために、絶滅するまで実を採り尽くしてしまう者もおり、マングローブは絶滅寸前にまで追い込まれた。

 しかし、ますます多くの人が、マングローブを守ることは自分の家を守ることにつながるという認識を得つつある。

 各地のマングローブ保護区の森林保護員たちは、毎日マングローブの林に分け入り、マングローブを破壊する行為を阻止し、病気や虫の害がないか観測している。

 徐々に保護員の宣伝努力により、マングローブは豊富な物質を提供してくれるだけでなく、生きている防壁でもあるのだと理解する人が増えていった。行動を起こす人が増え、マングローブ保護隊の参加者は増えていった。

 この20年で、各地で保護意識が高まり保護修復の動きが拡大するにしたがい、中国のマングローブ面積は2万9000ヘクタールに増加し、各地のマングローブ林には52の自然保護地区が設立された。中国は世界でも数少ない、マングローブ面積が増加に転じた国であるという。

 生態環境が好転すると、マングローブはまた生き物の天国に戻った。福建省(Fujian)のマングローブ国立自然保護区の砂浜では、150種の鳥と240種の水生動物、400種近くの水生生物が生息している。(c)People's Daily/AFPBB News