【8月4日 AFP】女子テニスのパレルモ・レディース・オープン(Palermo Ladies Open 2020)が3日に開幕し、会場のアナウンサーはテニスファンが5か月ぶりのシーズン再開を温かく歓迎することを願った。通常なら会場には約1500人の観客を収容できるものの、スタンドへの立ち入りが許されたのは約350人だった。

 全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2020)と全仏オープンテニス(French Open 2020)を数週間後に控えているものの、大会トップシードとしてプレーする予定だったシモナ・ハレプ(Simona Halep、ルーマニア)が、依然として新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による健康への不安があるとして出場を見送った。

 また、予選の直前には選手一人(名前は非公表)がウイルス検査で陽性となり、大会を棄権するアクシデントも起きた。

 約150日の中断を経て女子のシーズンが再開されたこの日、伊南部シチリア(Sicily)島パレルモ(Palermo)のクレーコートで行われた最初の試合では、クロアチアのドナ・ヴェキッチ(Donna Vekic、クロアチア)とオランダのアランチャ・ラス(Arantxa Rus)が対戦した。

 両選手は登場の際、マスクは着用していなかった。その一方で、2試合目に登場した選手にはゲームやセット間の休憩でマスクを着用することや、ネットの支柱に取り付けられた衛生薬品で手を消毒することが丁重に求められた。

 ヴェキッチは勝利後に臨んだメディアとのオンライン会見で、プレーの仕方を覚えていて満足だったと振り返りつつ、「奇妙な感じ。たまに面白いのは、感染防止対策で自分や観客がマスクをしていたり、輸送手段には仕切りがあったりすること」「もちろん、それは必要なことだけれど、前とあまりにも違っていて現実じゃないみたい」とコメントした。

 試合では主審と線審がマスクを着用していたほか、選手が審判に近づく際にはソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)が義務付けられていた。選手は試合後の握手やハグについても禁じられており、安全な距離を保ちながらネット越しにラケットを突き合せることになっている。

 会場には観客席から各出入り口までの通路の至る所に、除菌ジェルのボトルが設置されていた。また、試合が終わるたびに、観客がいなくなったスタンドでは消毒作業が行われていた。

 一方、男子ツアーの再開初戦は、米首都ワシントンで予定されていたシティ・オープン(Citi Open 2020)が中止されたことにより、22日に本戦が開幕するウェスタン&サザンオープン(Western & Southern Open 2020)まで待たなければならない。同大会は例年米オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)で開催されているが、今年はニューヨークに会場を移して行われる。(c)AFP/Elodie SOINARD