【8月4日 AFP】陰謀論を唱える「Qアノン(QAnon)」と呼ばれるグループ関連のアカウント、約7000件を停止するとの7月21日のツイッター(Twitter)の発表は、Qアノンが米政治の主流にまで及んでいることを浮き彫りにした。

 Qアノンは2017年、児童誘拐や「ディープステート(闇の政府)」などの陰謀論を主張するソーシャルメディアへの匿名の投稿から始まった、緩くつながるグループだ。指導者も実体もない運動だが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領のツイッター(Twitter)上では存在感を示している。

 Qアノンの運動については、暴力を引き起こす可能性があるとの懸念が高まっている。米連邦捜査局(FBI)は昨年発表した報告書で、Qアノンは「過激主義者の集団または個人を、犯罪や暴力行為」に駆り立てる可能性があるいくつかの運動の一つだと述べている。

■反マスク、反外出制限

 Qアノンは匿名「Q」と名乗る人物による、非主流派の複数のソーシャルメディアへの投稿から始まった。Qはこの中で、民主党が世界的な児童誘拐と性的人身売買を行っているとし、米諜報(ちょうほう)機関の上層部「ディープステート」はトランプ氏に対し陰謀を企てていると主張した。

 Qはその後、自らの主張を主流のソーシャルメディアに投稿。トランプ氏自身が米政権内で自分に対する陰謀が実際に存在すると繰り返したこともあり、Qアノンは支持を広げていった。

 Qアノンは、多数の事実無根の陰謀論を大げさに広め、トランプ氏による「偉大なる覚醒」について語ることで、緩く結びついたネットワーク内で多数の支持者を獲得しているようだ。

 フランスのウェブサイトで2万5000人以上のフォロワーがいるなど、Qアノンは特に欧州を中心に全世界で支持を集めていると話すのは、英国に拠点を置く過激化・政治暴力研究国際センター(ICSR)の関連団体「過激主義とテクノロジーに関する世界ネットワーク(Global Network on Extremism and Technology)」のジュリアン・ベライシュ(Julien Bellaiche)氏だ。

 Qアノンは今年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的な大流行)において、米国と欧州で外出制限とマスク着用に抗議する活動の推進力となった。新型ウイルスをめぐっては、作り話だと唱える人やトランプ氏に対する陰謀に中国が加担したと主張する人もいた。

 かなりの数のQアノン支持者が、トランプ氏の選挙活動に参加しており、軍や警察にも支持者がいる。