【8月3日 People’s Daily】新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)カシュガル地区(Kashgar Prefecture)伽師県(ファイザバード、Jiashi)に住むイミティ・アイシャンさん。その自宅を訪れると、イミティさんは庭で蛇口をひねり、せっけんで手を洗っているところだった。イミティさんはそのあと、両手で水を受けて飲んだ。「あー、おいしい。直接飲めるんだ!」とイミティさん。

 5月20日から、イミティさんを含む伽師県の貧困住民1万5300人が安全な水を飲めるようになった。これで、47万人余りの各族住民の飲料水問題が解決され、新疆のすべての貧困住民に安全な水が提供されることになった。

 イミティさんはすでに80歳。記憶をたどると、貯水池をよく覚えている。貯水池は人間と家畜の水源だった。遠くの貯水池までは2キロ、近くの貯水池でも1キロ近く離れていた。水は水おけをかついで家まで運んだ。

 貯水池なので中にはいろいろな物が漂っていた。だから、苦労して運んできても、すぐに飲むわけにはいかなかった。ろ過したり、浮遊物を沈殿させたりしなければならなかった。色もいろいろと変化した。赤茶色になったり、緑色になったりした。

 味はどうだったか。イミティさんは眉間にしわを寄せ、「苦かった。葉っぱをかんだような味だった。飲み終わると、おなかが痛くなった」と語った。1974年、イミティさんは貯水池の水を飲みすぎて病気になり、70日余り入院した。

 1997年になると、隣の疏勒県(Shule)の井戸水が水道管でイミティさんの家まで届くようになった。疏勒県には動力付きポンプのついた井戸が7か所あった。

 2005年前後には伽師県でも動力付きポンプの井戸が30カ所にでき、全県民が貯水池に別れを告げた。

 ところが数年もたたずに地下から届いた水がしょっぱくなった。一体、どうしたのか。専門家は「地震のせいだ」と言った。専門家によれば、伽師県は地震断裂帯の上にあり、地震が多い。地震があると、地下の水位が変化する。そうすると、水質が悪化する。また井戸を掘らなければならなくなる。新しい井戸を掘っても、2、3年で水が飲めなくなる。 

 2014年、伽師県の飲料水問題が国家重点民生プロジェクトとされ、技術者が調査。蓋孜河(Gaiz River)で取水し、3つの県を越えて伽師県に送られることになった。

 2019年5月、伽師県の飲料水プロジェクトが正式に着工した。投資総額は17億4900万元(約265億円)。今年5月20日、伽師県では透き通っていておいしい蓋孜河の水がほとばしった。(c)People's Daily/AFPBB News