【8月3日 AFP】20F1第4戦英国GP(British Grand Prix 2020)は2日、決勝が行われ、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)が最終周にタイヤがパンクしながらも何とか走りきり、大会最多7回目の優勝を果たした。

 セーフティーカーが2回出動したレースで、スタートからトップを守り続けたハミルトンは最終ラップに左のフロントタイヤが限界を迎えたが、低速走行ながらも猛追するレッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)を5.856秒差で振り切った。

 ハミルトンは「最後の2コーナーはまわれないと思った」「とにかく信じられない」「心臓が止まりかけたよ。ペースを落として冷静さを保った。パンクしたのがストレートで本当に良かった。コプスのような高速コーナーだったら大惨事になっていた」とコメントした。

 英国出身のハミルトンは、これでホームレース最多となる7回目の優勝を飾り、母国大会の優勝回数でフランスのアラン・プロスト(Alain Prost)氏を一つ上回った。GP優勝回数は通算87回に伸び、ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)氏の最多91勝まであと四つに迫っている。

 スタートから一度もリードを失わずに優勝を飾った回数は20回に伸び、こちらもアイルトン・セナ(Ayrton Senna)氏の記録を抜いたが、今回のようなレースは過去にないと認めている。

「最終ラップまでは、かなり順調な走りだった」「もちろん、最後のあんなことは今までに経験がなく、危うく心臓が止まるところだった」

「彼(フェルスタッペン)が追いついてくるのが聞こえた。差が30秒、20秒、19秒、15秒、10秒となって、ついには7秒になった。肝が冷えた。ストレートでつかまるかもと思ったが、何とかゴールできた」

「冷静さを保つ必要があった。それしかなかった。生存本能に助けられた」

 ハミルトンのチームメート、バルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)はレースの大半で快調に2番手を走っていたが、同じ問題に遭遇。残り2周で左のフロントタイヤが裂けて空気が抜けてしまった。かろうじてピットインはできたが、11位でポイントなしという結果に終わった。

 他選手がタイヤを大事にしようとスピードを緩める中、フェラーリ(Ferrari)のシャルル・ルクレール(Charles Leclerc)がフェルスタッペンに続く3位に入り、これにルノー(Renault)のダニエル・リカルド(Daniel Ricciardo)とマクラーレン(McLaren)のランド・ノリス(Lando Norris)が続いた。

 マクラーレンのカルロス・サインツ・ジュニア(Carlos Sainz Jr.)も終盤にタイヤがパンクし、4位から13位に順位を落として大会を終えた。

 6位以降はルノーのエステバン・オコン(Esteban Ocon)、アルファタウリ(AlphaTauri)のピエール・ガスリー(Pierre Gasly)、レッドブルのアレクサンダー・アルボン(Alexander Albon)、レーシングポイント(Racing Point)のランス・ストロール(Lance Stroll)、今季がフェラーリ最終年のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)が入った。(c)AFP